死物語(下)のネタバレしかない感想

千石撫子が臥煙伊豆湖の娘、臥煙雨露湖を絵に描くことで呪いを浄化。臥煙伊豆湖や臥煙遠江、専門家ができなかった呪いの浄化をやり遂げ、誰にも恥じることのない専門家となった。

千石撫子が専門家になった。

元々、ここから先の時系列の結物語で千石撫子が漫画家になって、専門家になっているような語りがあったことをなんとなく記憶しています。

かわいいだけが取り柄だった千石撫子が見事に誰も解決できなかった問題を解決して、専門家となった。

にしても、この死物語は千石撫子の苦難の物語でした。

フライトしていた飛行機は蛇に襲われて墜落

冒頭、貝木泥舟、斧乃木余接、千石撫子は飛行機でいろいろ話をしているのですが、臥煙雨露湖(洗人迂路子)の蛇の襲撃を受けて墜落。

千石撫子は周りに人もいない、何も落ちてない島に流れ着き、全裸の生活が始まった・・・。

貝木泥舟が飛行機事故に巻き込まれて死亡

あっけない・・・。

っていうか、恋物語で死んでいるので花物語で出てきたときから幽霊と思っていましたが、どうもこの死物語の貝木泥舟は最初から死んでいるようです。

千石撫子とエピローグで貝木泥舟と話をしますが、目を戻すと消えていたとありました。

手折正弦と一緒で、この世とあの世を行き来できる存在になっているのでしょう。

花物語の沼地蠟花と貝木泥舟がいろいろやり取りしているのも、どちらも死んでいたから、やり取りしやすかったんでしょうね。

斧乃木余接が飛行機事故で木っ端みじん

あっけない・・・。

話の途中で千石撫子が無人島サバイバル中にハブに噛まれて死にかけます。

死にかけているのにさらに大きなハブが来て、絶体絶命!!

イリオモテヤマネコに寸前のところで助けられて、そのあと斧乃木余接に助けられます。

この助けられた斧乃木余接は斧乃木余接mk-Ⅱというか、mk-Ⅲというかんじですね。

いちど、バラバラにされたのを千石撫子が戻したのがmk-Ⅱ、今回は飛行機事故で木っ端みじんになったところ、千石撫子が遊びで砂浜に書いた斧乃木余接の4コマ漫画、これが波にさらわれた際に実体化、斧乃木余接mk-Ⅲとなりました。

※作中には斧乃木余接mk-Ⅲとかいうたとえはありません

千石撫子の能力

千石撫子は絵を描いて実態化する能力があります。また、絵を描くことで呪いを浄化することもできます。

いつの間にか、どの専門家よりも特殊な能力を手に入れていたのです。

しかし、この能力は服を書いて中学校の制服を召喚することはできますが、食べ物を書いてもおいしい食べ物が出てくるわけではない、自分のコピーを書いてもまともに動いてくれないというように、完璧な能力ではありません。

あえて呪われたかもしれない臥煙伊豆湖

お遊び半分で作った斧乃木余接。そのせいで臥煙伊豆湖を含む5名の専門家は呪われました。

そのなかでも臥煙伊豆湖は

わざと呪われてなんでも知っているおねーさんになったかもしれない。

という描写があります。

「ま、全知の呪いを一身に受けるために、わざとタブーを犯したという可能性も、陰湿な蛇としては考えずにはいられないがね――罰を受けることこそが目的で罪を犯したって可能性さ。だとするとそれは不可能犯罪ではなく、完全犯罪として達成されている。さて、撫子ちゃん。撫子ちゃん、と呼んでいいのかな?」

死物語(下)P192

なんでも知っているおねーさんになるために、わざと呪われるために斧乃木余接を作った。ありそうで怖いですね。そうなると、貝木泥舟や忍野メメはいい迷惑という感じです。

臥煙雨露湖(洗人迂路子)の正体は?

臥煙伊豆湖の娘である、臥煙雨露湖。

貝木泥舟の呪いの蛇の元にもなっている臥煙雨露湖。

この正体は臥煙遠江のレイニー・デビル。阿良々木暦の忍野扇ちゃん、神原駿河の忍野扇君、羽川翼の苛虎。

要するに臥煙伊豆湖の作り出した怪異。

「忍野扇が阿良々木暦の負い目であるのなら、洗人迂路子は臥煙伊豆湖の若き日の、姉に対する劣等感の象徴なのだから。

死物語(下)P201

ただ、今までのレイニー・デビルは臥煙遠江に退治されている。苛虎は羽川翼に吸収されている。

今回の臥煙雨露湖は千石撫子に呪いのうろこを除去してもらい、高校生でハブを取りながら生計を立てているとか。

普通の高校生になっているんですね。怪異ではなく。

死物語(下)を3行でまとめる

  • 千石撫子、貝木泥舟、斧乃木余接の3名は飛行機を乗り継ぎ、西表島に行こうとしたが途中で蛇に襲撃され飛行機が墜落、誰もいないビーチに流れ着いた千石撫子が水も食料もない中、全裸でサバイバル生活を余儀なくされた。
  • 千石撫子が自分の絵を具現化する能力があることを思い出し、制服を新調。全裸から衣服を手に入れたことで、島を探索。住居にできそうな大きな穴を見つけたが、ハブに噛まれてしまい死にかけに・・・。ハブを銛で倒して、そのハブをロープ代わりに使って足を止血、薄れゆく意識の中さらに巨大なハブが出てきて絶体絶命!!イリオモテヤマネコがハブを食べて助けてくれたことにより、自身が西表島に到着していることに気付く。そして、ビーチの落書きのおかげで斧乃木余接が復活。死にかけの撫子を介抱した。
  • 臥煙雨露湖といざ対決!!となったが臥煙雨露湖はリゾートホテルに滞在、撫子は臥煙雨露湖に紙とペンを用意させ、大量の呪いによるうろこを1個1個丁寧に描くことでうろこをはがし、呪いを浄化。どの専門家も成し遂げなかった臥煙雨露湖の呪いを浄化し、臥煙雨露湖は普通の高校生に、千石撫子は臥煙伊豆湖のお手伝いをしながら、漫画家デビューを目指し上京。

死物語(下)を読んだ感想

物語シリーズが終わってしまった・・・。

アニメから入ってから追いかけ続けていたこのシリーズ。ちょうど暦物語のアニメが終わったところで、小説は愚物語や業物語が発売されていたころでした。

結物語から続いた「蛇足」の集大成がこの死物語(下)と思います。

死物語(上)では現在のコロナウイルスのパンデミックを書くという暴挙。おかげで化物語が令和元年の話になってしまいました。

結物語が物凄く先の未来の話になってしまった・・・。

こうなると、この先の社会情勢をある程度見極めないと、今後の物語シリーズを書くことができなくなりそうです。

西尾維新先生のほかの作品を読みつつ、いつかまた、物語シリーズを書いていただけることを期待しております。

死物語(下)は(上)に比べて小気味よく、展開も早く、ドキドキしながら読むことができました。伏線回収もしてくれたので、それもまたうれしい。

貝木泥舟の出番が少なかったのが残念ですが、仕方がないですね。

楽しい本なので、まだ読んでない人はここを読んでないと思いますが、ぜひ一度読んでみてください。

長文お付き合いありがとうございます。

本文は以上です。

死物語(上)の感想はこちら↓

扇物語の感想はこちら↓